水野研では、北海道陸別町、南極昭和基地、アタカマ高地(チリ)、リオ・ガジェゴス(アルゼンチン)、トロムソ(ノルウェー)にミリ波大気分光観測装置を設置し、成層圏・中間圏のオゾンや窒素酸化物、オゾン層破壊物質等の大気微量分子の定常観測を行っています。
図 昭和基地の中心部(中央の紺色の建物(光学観測棟)にミリ波観測装置が設置されている)
昭和基地のミリ波観測装置は、国立極地研究所と共同して、2011年1月に光学観測棟内に設置されました。地球大気環境の理解を深める上できわめて重要な鍵を握る観測サイトである極域において、中層大気組成の変動の詳細を把握し、そのメカニズムを解明することを目指しています。
昭和基地という限られた環境内で運用するため、小型・省電力のミリ波観測装置が開発され、250 GHz帯で中層大気中のオゾン、窒素酸化物等の高度分布の連続観測を行なっています。装置の立ち上げは、水野教授と礒野靖子さん(当時博士課程学生)が第52次日本南極地域観測隊のメンバーとして南極へ赴き、スタートさせました。礒野さんは、その後も越冬隊員として昭和基地に留まり、安定した観測・運用の実現に携わりました。また、研究所技術職員の児島康介さんは、第54次・第56次・第58次夏隊に参加し、装置のメンテナンス等を行っています。
なお本研究計画は、南極地域観測事業の第8期(平成22〜27年度)計画「南極域から探る地球温暖化」のサブテーマのひとつ「南極域中層・超高層大気を通じて探る地球環境変動」、第9期(平成28年度〜平成33年度)計画「南極から迫る地球システム変動」のサブテーマのひとつ「南極大気精密観測から探る全球大気システム」に位置付けられています。